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パン屋を1年やってわかったこと、感じたこと


1年前、忘れられないオープンの日。
一番大事な日にドゥコンの設定をしくじり前日仕込んだ生地を台無しにしてしまい、朝から全て作り直し。オープンの時間になってもほんの少しのパンしか用意できなかったのです。

パンはすぐに売り切れ、オープンキッチンで追加のパンを慌てて作っている姿を目の前で大勢のお客様がじっと見ながら待っている。
焦るし、これ以上失敗できないし、すごい視線・・・
お客様の方は見ず必死にパンを作っていたあの日。

あの苦いデビューから1年、無我夢中で今日まで突っ走ってきました。
気が付けば1年前と比べてお客様の数もメニューの数も作る量も随分増え、お店も私も少し成長したように思います。


■お店の状況
お客様の数は曜日や天候に左右されますが1日平均100名(組)様ほどで8割から9割くらいが女性のお客様です。

よく「繁盛してますね!」と言われるのですが、売り場に大人4人も入ればいっぱいになる小さなお店なのでそう見えるだけだと思います。

でも同業の方が見たらきっと不思議に思うと思うんです。
「1人でもできそうな小さな店に、なんでこんなに大勢のスタッフがいるんだろう?しかも週休2日!?
やっていけるのかな」と。

確かにお昼の入れ替わりの時間帯は狭い厨房に4人も働いています・・・
そうなんです、パン屋さんだけだとまだまだ食べていけないです、夫が会社員で共稼ぎなので大丈夫ですが。

小さな規模のお店が冷凍生地や業務用フィリングを使わずに、手作りにこだわり過ぎると貧乏暇なし!ということがリアルに分かった1年でした。


■量の壁
量の壁を少し乗り越えてきた感じがするというか、これまで見えなかった量の壁が見えてきました。
目の前に大きな公園があるので春や秋は特にお客様が多いのですが、気持ちのいい穏やかな日はオーブンなどの設備を限界まで使うことが結構あります。
設備の規模が小さいので、タイムスケジュールの改良を繰り返しながらやってきたのですが「どこまでできるかチャレンジ!」な感じの忙しい日は、追加追加でドンドン作り、これ以上焼きたくても焼けないという限界に達します。

本当にこれが限界? もうちょっといけるかな?
という感じもして、何度かチャレンジしてみて「やっぱりこれが限界だ」と分かるまで1年近くかかりました。

設備の限界がわかった、これまで見えなかった量の壁が見えたということは、最初の試練は越えたのかなと思っていたのですが・・・1周年の2月2日、ついにその壁を超えました。

この先どうしようか、設備やスタッフを増やそうにも狭すぎて無理だし、移転なんてとてもとても・・・
きっと、多くの先輩方はこういった問題を乗り越えてきたんだろうなと思うのですが、今の私はそれが分からなくて悩んでいます。


■こだわり
冷凍生地や業務用フィリングを使うと短時間で大量の商品を提供することができます。
今や冷凍生地を使って商品数を増やすパン屋さんも多く、全く使っていないお店の方が少数派です。

それらを使うと、もっと早く帰れるのは間違いないし、売上はもっと上がるだろうし、私の悩みも解決するかもしれない。

でも・・・
業務用のカスタードの味がするクリームパンやマーガリンの味がするクロワッサンなんか私は食べたくないし、添加物だらけのパンや次の日にパサパサになるパンは買いたくないです。
私は自分が毎日でも安心して食べたくなる美味しいパンを作りたいのです。

厳選した材料と手作りでしか出せないピュアな味、買った次の日もパサつかないしっとり美味しいパンを作る技術。
それがこの店の価値だと思うので、手作りへのこだわりだけは捨てられないのです。

パン屋さんだけで生計を立てていたら、そんな悠長なことは言ってられないでしょうけど・・・


■時間の壁
こっちは相変わらずです。
スタッフもみんな手際がよくなって仕事がすごく早くなりました!でも作る量を増やしているので結局働いている時間はあまり変わらないです。
試作とか改良とかやりたいこともいっぱいあるので1日15時間はお店にいます。それでも以前よりは早く帰れるようにはなりました。

睡眠不足も相変わらずですが、12月から定休日を週2日(日曜・月曜)に増やしたので体は随分楽になりました。
足の痺れも少しずつマシになってきているし、指のケガもやっと治りましたよ!

怪我をしたり、体調が悪くても私は休めないのでつらい時もありますが、情熱を注げるから頑張れるということがよく分かった1年でした。


■家庭との両立
月に1回するかしないか程度だった外食が、週2回くらいに激増しました。
子ども達のお弁当も毎日は作れなくなりました。
庭の花や樹をいくつも枯らしてしまいました。
休みの日も休みじゃないくらい忙しいです。

それでも夫や子供たちは毎日家事を手伝ってくれます。

家庭との両立は本当に大変です。
女性の起業は家族の支えなくして不可能だなぁとつくづく思います。


■アングラ
①何月だったか詐欺に合いました。
地域のパン屋さんが何軒もやられた知能犯でした。
お店に来たその男性
「XXXという会社の者ですがサンドイッチを30個予約できますか?明日会社の者が取りに来るので準備お願いします。電話番号はXXXX-XXXXです。」
「あと、いくつか買って帰ります。代金は明日まとめてでいいですか?」

なんとなく気になって電話をしてみると、「おかけになった電話番号は・・・」
みごとに引っかかってしまいました。。。

②タウンワークに求人広告を出すと、必ず振り込め詐欺から郵便が届きます。
求人広告を切り取って貼った紙と振込用紙が届くのです。ゴミ箱に直行→です!

③一番多いのはホームページ制作会社。
「グルメサイトで紹介したいので取材したい」という切り口で電話をかけてくるのですが、グルメサイトというのは、その会社が作った平凡なリンク集。
そして「検索サイトで有利になりますよ、スマホ用のホームページ作りませんか」と持ちかけてきます。
飲食店が"取材"という言葉に弱いのを言葉巧みに突いてくるんですね。。。

アングラな社会が実は身近にあったことを知った1年でした。


■凹んだこと
開業前は、主婦業に加え自宅でパン教室や受注販売をしながら複数のパン屋さんの仕事を掛け持ちしたりしていたので体力だけは自信があったのですが、その体力をもってしても毎日フラフラになります。
限界だよ~と思う自分に凹みます。


■一番凹んだこと。
オープン時にいただいた沢山のお祝いのお花。
もともとお花が大好きで私生活でもよく買うのですごく嬉しかったんです。

でも、その綺麗な沢山のお花がオープン5日目に根こそぎ誰かに持って行かれました。
立派な胡蝶蘭も、まだ蕾のチューリップも、大きな観葉植物までも。
短時間の間に忽然と消えました。。。

せっかくいただいたお花なのに。さすがに凹みました、凹凹凹凹凹くらい。。。
お店の外に並べていた私がいけなかったんだと思いますが、ひどいことをする人がいるんですね。
今まで恥ずかしくて申し訳なくて言えませんでした。ごめんなさい。


■嬉しかったこと。
たくさんの人と知り合えたこと。
素晴らしいスタッフに恵まれたこと。私と同じ目線でお店の事を考えてくれるスタッフ。お店の宝です!

お客様に「美味しかった」と言ってもらえた時はそれまでの疲れも吹っ飛ぶくらい嬉しくて、パン屋さんをやっていて本当に良かったと心の底から思えます。


■つながり
どうしても思うように焼けない時、年に1・2回ですが今でも師匠に相談に行くことがあります。
急に専門材料が足りなくなった時、以前働いていたパン屋さんが材料をまわしてくれます。
お知り合いになった有名店のシェフの方はとても気さくでいろいろ教えてくれます。
この1年間に専門学校時代の生徒さんが3人お店を出しました。そして今お店で修業しているスタッフが今年独立してお店を出す予定です。経営スタイルは十人十色ですが刺激になることが多いです。
開業前からのお客様や主婦友はコアなリピーターになってくれています。
業者さんとの信頼関係も出来て多少の無理は聞いてもらえるようになりました。

こういった繋がりはどれも本当に心強いです。
開業前に数軒のパン屋さんで修業して良かったと思うし、知り合いの多い地元で開業して良かったと思うし、人と人との繋がりが本当に大切なんだなって実感した1年でした。


■これからのこと
毎日がすごいスピードで流れています。明日のことを考える余裕すらないくらいに。

流れに任せて精一杯のことをしてきたけれど自分が夢みた小さなパン屋さんとは違うスケールになってきていて、これから先どうしようかと暗中模索しています。

前を向いて今できる事を精一杯やる。お客様に美味しいと喜んでもらえるパンを作りたい、今はその思いだけです。
その中で新しいメニューの開発やイベントなどを企画していけたらなって。

まだ一年。これからもBreadioはお客様の身近なパン屋さんとして頑張ります!
どうぞよろしくお願いします。


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Comments:10

管理人のみ閲覧できます by 2013-02-18 (月) 13:39 edit

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2月18日鍵コメさんへ by 加藤 朋子 URL 2013-02-18 (月) 22:03 edit

昨年は体調不良だったんですね。大変でしたね。

今、定休日が日、月の連休をいただいておりまして、
泉州マラソンの日曜日はお休みだったんです^^;

お越しの際は是非お声をかけて下さいね!
お待ちしています♪

by もりた URL 2013-02-19 (火) 14:38 edit

開業される前から、家パンをするにあたってブログを読ませていただいていました。
お店を作られるのを見たりして、それが私も開業しようとするきっかけになりました。

こういうレポート的な内容が更に参考になります。
まだあすの予定たってませんが、たまにしかない明日の休みでお店の方を見せてもらいたいと思っています。
キョロキョロ不審な動きをしていたらごめんなさい。

励みにもなりますので、これからもブログ読ませて頂きます!

もりたさんへ by 加藤 朋子 URL 2013-02-19 (火) 23:59 edit

こんばんは^^

明日、お店に来てくださるのですね。
有難うございます。

バタバタしているかと思いますが、ゆっくりお店を見て帰ってくださいね!
お待ちしています♪

by reco URL 2013-03-01 (金) 18:34 edit

何だか、涙が出てきそうです。
ほんとに頑張って、輝いて・・
遠いので買いに行く事が出来ませんが、陰ながら応援しております。
ブレッディオさんのパン、凄く食べてみたいです^^
私もパサパサじゃないパンを何とか作りたくて勉強の毎日です。

recoさんへ by 加藤 朋子 URL 2013-03-04 (月) 00:52 edit

オープンから一年、本当に良いことも悪いこともあっていろいろな意味で勉強になりました。
これからもずっと走り続けるために前を向いて頑張ります。
応援ありがとうございます!

by 櫻井 URL 2013-07-29 (月) 20:35 edit

いつも読ませていただいています。
僕も昨年9月にパン屋を開業しまして、たいへん参考にさせていただきました。
僕も加藤さんと全く同じ考えで、
業務用フィリング、冷食には目もくれず、
なるべく手作り、地産地消、旬のもの、で商品づくりをしています。

ただ、ほんとうに厳しいですね。
気持ちがぶれてしまいそうになるたびに、ブレッディオさんのブログを読んで、自分を奮い立たせています。
加藤さんのパンいつか食べてみたいです。
その日を心待ちにしながら、頑張っていこうと思います。

Re: タイトルなし by 加藤 朋子 URL 2013-07-30 (火) 01:12 edit

いつもブログを読んでいただき有難うございます!

手作りにこだわるとコストも時間もかかってしまいますよね。
だからと言って、フィリングを使ったら、何のためにお店を始めたのかわからなくなります。

厳しいですが、お客様の喜ばれる姿、美味しかったよの一言で、やっぱり手作りでしてよかったって思います。

櫻井さんも頑張ってくださいね!



承認待ちコメント by 2017-01-28 (土) 22:42 edit

このコメントは管理者の承認待ちです

承認待ちコメント by 2017-05-10 (水) 23:42 edit

このコメントは管理者の承認待ちです

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